生命保険

「外貨建て保険」苦情が激増する理由は簡単 自分で調べること

外貨建て保険の苦情が激増らしい。

生命保険協会調べによると、2014年時の苦情が922件だったのに対し、2019年は、2,822件と3倍に激増している。

決して、保険会社の外貨建て保険が、詐欺まがいの商品というわけではない。
保険を売っている募集人が、虚偽の説明をしているわけでもない。

お客さんの目的と、商品が一致していない。(これは問題だ)
為替のことがわかっていない。(学校で習ってないからね)
保険の仕組みがわかっていない。(難しすぎる)

そもそも保険とは

保険の目的は、万が一の時の保障を確保するものである。

外貨建ての保険は、貯蓄性もあるし、円建てと比較してお金も貯まるのは事実だが、これは付け足し。
資産形成が目的であれば、iDeCoや、積立NISAにしよう。税制面でも優遇がある。

保険は、中途解約すると損をする。
円建てでもそうだが、保険料払込期間中の解約は、払込保険料より解約返戻金のほうが少なくなるのが一般的。

保障は掛け捨てで十分だし、資産形成は、投資信託で良い。

外貨建て一時払い終身保険

メットライフ生命に、積立利率変動型一時払い終身保険(米ドル)という商品がある。
商品名は、サニーガーデンEX。

2021年3月16日から2021年3月31日の積立利率は1.5%となっている。
定期支払コースを選んで、10万ドルで申し込んだとすると、今後10年間、毎年1,500ドルの配当がもらえる商品だ。

銀行で定期預金しても、せいぜい0.002%だから、この商品の積立利率が2.8%前後の時は、よく売れた。
配当は、少々の円高になっても、銀行の利息に負けることはない。

10年経つと利率が見直され、続けるのであれば、その時の利率に変更してまた10年、毎年決められた利率で配当がある商品だ。
もし利率が下がって魅力がなければ、10年の区切りで解約すると、解約の手数料等取られることなく元本が返金される。

つまり元本保証があるのだが、ここで苦情になるみたい。
元本保証は、あくまでも米ドル通貨でだ。

申込時、1ドル=100円であれば、10,000,000円を払うのだが、10年で解約するときに、1ドル=95円であれば、9,500,000円となり、50万円足りない。
ここで、「元本保証って言うたろ!」となる。

募集人は必ず為替のリスクと、米ドル建ての商品であることを説明している(ほぼ、そうだと思うけど)。
この程度の知識もないというほうが問題かなと個人的には思うし、義務教育で教えて欲しいと思う。

外貨建て終身保険(平準払い)

申込時に、まとめて保険料を払うのが「一時払い」というのに対し、毎月(半年払いや年払いも同様)決まった保険料を払っていくことを「平準払い」と言います。

【事例】
被保険者:30歳男性
保険種類:外貨建て終身保険
 保険金:100,000米ドル
 保険料:139.10米ドル/月払
保険期間:終身
払込期間:60歳

総支払保険料は、139.1×12か月×30年=50,076米ドル。
約5万ドル払込むと、いつか必ず10万ドルもらえる商品である。(解約しない限り)
円建てだと保険金に対する保険料は高くなるので、募集人は外貨建てを勧めるのだ。手数料も高いし。

解約返戻金を見ると、この事例では払込期間を待たずに53歳の時点で、返戻率が100%を超えてくる。
払込が終わった60歳では、返戻金が55,350ドルとなるので返戻率は、110.9%、70歳では130.8%となる。

保障も取れて、老後資金が必要になれば解約してその資金に充てましょう、というセールストークの根拠だ。
しかし、S&P500インデックスファンドの投資信託のほうが、お金は増えるだろうけどね。

「払済」という仕組み

平準払いであれば、終身や養老保険でよくお客さんが心配することは、保険料を払い続けられなくなるかもしれない、という不安だ。
貯蓄性の保険は途中で解約すると損をするからだ。また、保障がなくなってしまう。

そこで出てくるのが「払済」という手続き。

貯蓄性のある商品では、保険料の支払いはやめるけど、今まで預けていたお金(解約返戻金)で再度、保険金を計算しなおして新たな保険にする仕組みだ。

上記の終身保険でシミュレーションすると、43歳時点で払済にしたとすると、下記の通り。

43歳までの支払い保険料21,699.60ドルに対して、解約返戻金は、19,240ドル。この解約返戻金で一時払いの終身保険に切り替える。
新たな保険金は、10万ドルから52,060ドルとなる。19,240ドルで、52,060ドルの保険を買い直した、ということだ。

そして解約返戻金(19,240ドル)は、今後、当初の契約通りの利率で増えていく。
払済後、5年、48歳時に解約返戻金は21,792.88ドルまで増え、支払い保険料を取り返すことができるのだ。

したがって、募集人は、お客さんの不安に対し、払済という手続きがあるから、保険料の払込が難しくなっても止めることができ、かつ、返戻率もじきに100%超えて損はしないですよと言う。

ここで大きな苦情となる。

この仕組みは難しいので、お客さんの頭には、「払込を止めても大丈夫」「損はしない」というフレーズだけ残ってしまう。

損を回収できるのは事例では5年だったが、年齢と、払済の時期によっては10年近くかかることもある。
しかし、お客さんは、払済にしたら返戻率は100%になると認識してしまうのだ。

難しい金融商品は、説明を受けているときは、ふむふむと、何となく理解できるかもしれない。
しかし、これが知識として記憶には残りにくい。

したがって、複雑な金融商品に手を出さないことだ。
これは、保険だけでなく、すべての金融商品に言えること。

シンプルなのが一番なのだ!

ここでは、誰が悪いのか特定はしないし、外貨建て保険を全否定するつもりもない。為替のリスクはいうほど怖いものでもない。
が、知らないと、結局損をするのは自分である。

お金のことは自分の頭で考えるしかない。

ABOUT ME
とおる
人生のいろいろな事情を経験してきた50代。 社会に出て、最初の20年はとにかくお金に無頓着。なぜ自分がこんなことになっているのかすらわからない状態。その後約10年、生命保険代理店で法人担当の仕事を週7日で勤務。多くの経営者と接するうちに、失敗の原因が見えてきて、ビジネス書を読み漁るようになる。時々、政治や歴史書を織り交ぜながら。